日本医学物理士会長  遠藤 真広 平成21年4月

ご存知の方も多いと思いますが、医学物理士の認定を行う組織が、本年度より変更されます。日本医学放射線学会(JRS)と日本医学物理学会(JSMP)は、共同で本年3月に医学物理士認定機構を設立しました。今後は、JRSに変わり、同機構が医学物理士の認定を行うこととなります。また、これに伴い、医学物理士の認定資格が改訂されます。この改訂は、がんプロフェッショナル養成コースの開始や医学物理士に対する要望の増大に応えるために行われるものですが、医学物理士を巡る状況が大きく変化していることもあり、放射線技術系の医学物理士の一部の方に誤解を与えているようです。

今次の改訂で、放射線技術系の医学物理士は資格を失うのではないかという問い合わせが私あてにもありますが、そのようなことは全く根拠のない噂ですから、ご安心ください。皆様のご懸念を払うため、同機構の設立に評議員として参加した立場から今後の認定制度について説明いたします。

新認定制度では、認定基準としての教育履修レベルは修士レベルを基本とします。しかし、それに満たない放射線技術系の出身者(診療放射線技師資格者)を排除するものではありません。また、これは新規認定の基準であり、既に医学物理士の資格を保持されている方には、当然ながら適用されません。

医療短大や専門学校の卒業者について、具体的な新認定基準を説明します。新認定基準では受験に必要な医学経験は5年から8年となります。医学物理士の認定には、試験合格、業績点および医学経験10年が必要となります。ここで、業績点の一定割合は論文や学会発表が要求されます。医学経験年数の延長は、これから上記の学校に入学する方に適用され、在学者および既卒者に対しては、従来と実質的に同じとなる経過措置が施されます。他の教育課程出身者についても基本的には同様であり、医学経験は既卒者および在学者については現在と同じ年数が要求されます。

すでに医学物理士を保持されている方には、どのような影響があるでしょうか。第一に資格更新が5年毎になります。これに伴い、資格更新に必要な業績点は増加します。しかし、1年当たりの業績点は15点であり、従来と変わりません。大きく変わるところはその内容であり、論文や学会発表の業績点が一定割合必要になります。これは医学物理士に対する要望に対応したもので、医学物理士の資格を保持し続けるためには、自ら問題を見つけて解決し、それを発表していくことが必要となりました。医学物理士会としては、今後は医学物理士の能力向上をこの面からもサポートしていく所存です。