1 医学物理(学)について

医学物理学とは物理工学の知識・成果を医学に応用・活用する学術分野である。

2 医学物理士について

医学物理士とは、放射線を用いた医療が適切に実施されるよう、医学物理学の専門家としての観点から貢献する医療職である。

診断分野においては、医師と連携を取り、診断的有用性と安全性のバランスを保ち、診療放射線技師と協力し、診断装置および診断画像の品質管理・保証を実施する。また、放射線診断に関する医学物理学的研究開発を行う。

治療分野においては、医師と連携を取り、治療計画の最適化を行い、診療放射線技師および放射線治療品質管理士と協力し、治療装置の品質管理・保証を行う。また、放射線治療に関する医学物理学的研究開発を行う。さらに、患者体内での吸収線量に関する位置的精度と量的精度が臨床上必要な範囲に収まっていることを確認し、医師の処方通り治療が行われていることを担保する。

3 治療分野における医学物理士の業務

ここでは特に関与が必要とされている治療分野における医学物理士の業務について示す。今後、診断分野における医学物理士業務についても示していく。 治療分野における医学物理士業務として以下があげられる。医師や診療放射線技師、放射線治療品質管理士の業務との重複もあるが、医学物理学の観点から関与するという点において異なる。

(ア) 治療計画における照射線量分布の最適化(注)および評価 (イ) 治療装置・関連機器の受け入れ試験(アクセプタンステスト)・コミッショニングの計画、実施、評価 (ウ) 治療装置・関連機器の品質管理・保証の計画、実施、評価 (エ) 治療精度の検証、評価 (オ) 放射線治療の発展に貢献する研究開発 (カ) 医学物理学に関する教育 (キ) 患者への放射線治療に関する医学物理的質問に対する説明 (注) より具体的には、医師が指示する処方線量を実現するために、マージン設定、照射方向および各門の重み付けなどの、最適化を実施する。 (転載元: 日本医学物理学会から平成21年5月9日に発表された「日本医学物理学会が考える医学物理・医学物理士について」より)